ご案内
あいにく今の人たちは「消費者の時代」に育ってきたから、消費は美徳という楽天主義に染まっている。
しかし、それは収入が増えつづけるという前提があってのこと。
あいにく人生の第三ステージでは、収入は(減ることはあっても)増えないと思ったほうがいい。
さあ、深呼吸して現実と向き合おう。
経済状況を現実的に把握することは、現役引退への不安や苦痛の半分を取り去ってくれる魔法の薬を飲むようなものだと考えよう。
いま七O代の私が若かったころ(一九六0年代のことだ)は、もっぱら「今を楽しもう」という時代だった。
大人の社会にはいろいろ問題があったけれど、若者たちには夢がファッションの世界がさかんに六0年代を取りあげる。
しかし、あくまでも若者にとってのいい時代だ。
女性なら子離れ・職離れを、男なら定年退職を考える年齢にあった。
だから今でも、映画や音楽、しかかったら、六0年代の気分ではいけない。
もっと現実的になるべきだ。
おそらく、こんな話は聞くのもいやだろう。
流れにまかせて生きていれば何とかなる、と考える人はたしかに多い。
しかし、この本をここまで読んできたあなたは、老いと衰えの潮に逆らって生きることを選択してきたはず。
ならば、貧困化の潮にも逆らう決意をしよう。
そうしないと、あなたも七O歳を過ぎたころにはガス欠ならぬ金欠を起こし、人生の第三ステージの道半ばで立ち往生してしまう。
だから、今すぐ机に向かって現役引退後の年収を計算してみよう。
夫婦二人を合わせた収入と、亭主が不在になった場合の収入も計算してみる。
次に、インフレ(つまり物価上昇)による資産の目減り分を計算する。
かなり極端だが、インフレ率五%くらいの想定にするといい。
欧米や日本に住んでいる人なら、たぶんこれ以上のインフレは経験しないですむだろう。
なにごとにも陰と陽の両面がある。
まずは「陽」の面。
いろいろな調査によると、よほど貧乏でないかぎり、お金と幸福の聞に直接的な関係はないそうだ。
現役時代には、誰だって少しでも多く稼ごうと頑張ってきたにちがいない。
でも、お金が多ければ幸せも多いというわけではない。
人生の第三ステジは、基本的には財産を食いつぶしていく時期だ。
だんだんと、相対的に貧しくなるのは避けられない。
でも(しっかり運動して元気な身体を維持していれば)財産の残りが減っても不幸にはならない。
次は「陰」。
今までよりも出費を抑えて暮らすことは、そう決意するだけでも難しい。
私たちは、自分たちの所有物が自分の価値を象徴すると考えて生きてきた。
自動車も、食べるものも、着るものもそそれは現役時代の話。
人生の第三ステージでは別な価値観が必要だ。
誰も寝る人がいなうだ。
しかし、いベッドルムがいくつもある家に、夫婦二人だけで住んでいる必要はない。
現役時代は「消費が美徳」だったかもしれないが、これからは倹約こそ美徳だ。
章体重なんて気にするな「二週間で二0キロ痩せて、絶対にリバウンドなし」。
そんなダイエット本を書けば大ベストセラー間違いなしだから、著者に二O億ドルの印税が舞い込んだと聞いても私たちは驚かない。
なにしろアメリカには肥満の人が一億人もいて、そういうお手軽な話をすぐにでも信じたがっている。
お」気の毒一に。
そんな話、真実であるわけがない。
私たちは、あなたに無駄使いしてほしくない。
だから厳しい現実を率直に話す。
ダイエットは成功しない。
九五%は失敗に終わる。
そもそも減量を目的に掲げること自体が間違いだ。
まず到達不能なゴルに向かって努力するのは無駄なことだし、体重のアップ・ダウンを繰り返すうちに結局は太ってしまうのが関の山だ。
だからダイエットは忘れよう。
そのかわり週に六日の運動をして、Dr.ハリーの第五ルールに従おう。
いわく、「クズを食らうな」である。
それでも「痩せたい」と思う人がいるのは承知している。
だからちょっと注釈を加えておこう。
実は、私たちの言うとおりに運動して、楽しく汗をかいて、それをずっと続けていけば、いずれは体重を減らせるかもしれない。
もちろんダイエットなしで。
この私だって、現に二0キロは痩せたのだ。
ダイエット本の著者たちと違って、私たちは断定しないが、減量できる可能性はかなり高い。
みごと減量に成功したら、私たちに二O億ドルの小切手を送ってくれ。
しかし今はまず運動して、健康な身体をつくとにかく最初の一歩を踏み出ることだ。
今はセイウチみたいに太っている人にも、運動は効果がある。
すこと。
そして続ける。
ファストアードの類を食わず、体重など気にせずに続けることだ。
Dr.ハリーが第五ルールで言う「クズ」とは何か。
わざとあいまいな表現をしているが、あなたにはわかっているはずだ。
本当は食べないほうがいいと承知しているのに食べ自分に正直になって、ている食品の類を書き出してごらんなさい。
この先の章を読んでもらうまでもなく、たぶん八五%は正解だろう(念のために答えを書き添えれば、「クズ」とはブライドポテトや大部分のフアストアード、スナック菓子の類である)。
よく運動して、クズを食わない。
これはダイエットじゃないから、本気で続ければ成功する。
もしも体重が減らなくても、あなたの身体はずっと健康的になり、機能的に若返るはずだ。
おまけに体重が落ちれば言うことなしだ。
嘘をついた神ミニスカートとツイッギが登場して以来、女性たちは「ダイエットの神」を信じてきた。
とんでもない間違った信仰だ。
しかも、この偽りの神に大金を貢いできた。
たぶん何十億ドルにもなるだろう。
テキサス州とマサチューセッツ州の子どもをすべて法科大学院に入れて弁護士にし、国中のフアストフードチェーン相手に訴訟を起こしても、まだお釣りが来そうな金額だ。
これだけ貢いで、私たちは何を得たか。
みんなが二0キロほど太り、一握りの企業家が財産を築き、残りの人には余計な脂肪だけが残った。
お金も時間も、すべて無駄になった。
こんなことは、さっさとやめたほうがいい。
偽りの神の常として、巷にあふれるダイエットの聖典の類はまず信用できないし、どれも言うことが違っている。
痩せるという究極のゴルに至る道が、なぜそんなに食い違うのか。
ット教の主張の一つひとつに食ってかかるつもりはない。
そんな暇はない。
しかし国民の健康を預かるいや、数ある、ダイエ政府のガイドラインでさえ、一貫性を欠いているのだ。
アメリカ農務省の作成した「食品ピラミッド」というのがある。
「脂肪の摂りすぎを防ぐために炭水化物をいっぱい食べよう」という説がもてはやされた一九九0年代初頭、なにか公的なお墨付きを求める国民の声に応えて作成されたものだ。
健康のためにたくさん摂るべき食品を底辺に、摂るべきでない食品を頂点に置いた三角形で、ざっとこんな感じだった(図4)。
このピラミッドを見て、パンやシリアルのメーカーが大喜びしたのは言うまでもない。
クラッカーの会社も喜んで、製品の外箱にこの三角形を刷り込んだくらい。
ブライドポテトの会社も喜んだ。
油で揚げているとはいえ、ともかくポテトは炭水化物たっぷりの野菜だから。
しかし今では、このピラミッドを信用する人はほとんどいない。
これが発表されてから九年とたたないうちに、表したからだ。
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